人間の三大欲求といえば食欲・睡眠欲・性欲の3つですが、求めるものは人それぞれ異なりますね。
性別が違えば欲求の種類も変わりますが、それでも約半数の人たちが共通して求めるものがあるのをご存知でしょうか。
その欲求とはずばり『睡眠欲』です。
そのことを反映するように、今まさにマットレス市場が盛り上がりを見せています。
2016年マットレス市場は約263億ドル(約2兆8,000億円)でしたが、2021年には368億ドル(約4兆円)にのぼる見込みです。
そんなマットレス業界で、今までの常識を覆した企業として米国ビジネス誌『Fast Company』の『2017 MOST INNOVATIVE COMPANY』に選出された企業を紹介させていただきます。
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”ユーザー目線”なマットレス販売が話題のベンチャー企業『Casper』です。
IT企業としてテクノロジー
2014年にローンチされたばかりの『Casper(キャスパー)』ですが、すでに累積売上高1億ドルを超える企業に成長しました。
『Casper』はITを駆使した新たなプロダクトやサービスを展開しており、睡眠をサポートするチャットボットとの連携をすでに実施しています。
またIT企業ならではの強みとして、睡眠に関して熱心なユーザー達とSNSを利用した大きなコミュニティも作成しました。
今ではFacebook55万人、ツイッター11万3000人、インスタグラム8万5000人のフォロワー数を誇ります。
当時は珍しかったマットレスのオンライン販売と独自のマーケティング手法が注目を集め、ニュース雑誌『TIME』では「25 BEST INVENTIONS OF 2015」にも選出されました。
高品質マットレスを低価格でオンライン販売
世代が変われば思考もかわり、現在は「品質を求めるがコストはかけたくない」という消費者が増えているとしています。
所得レベルが高くても財布の紐は緩くなく、一昔前と違いブランドには固執せず品質を追求する傾向が強いようです。
『Casper』はまさにその変化した購入層をターゲットにしています。
まずは低コストで品質の高いマットレスを開発しました。
さらにサプライチェーンや工場を見直し、販売店やショールームを介さないことで大幅なコストの削減にも成功しました。
そうしたさまざまな企業努力の結果、マットレスは500ドル(約5万5000円)〜950ドル(約10万円)とリーズナブルに設定に抑えられています。
100日間のトライアルと10年間保障
従来のマットレス選びは消費者にとってとても納得のいくようなものではありませんでした。
その種類の多さから営業担当により選択肢を狭められ、一瞬の試用で適合判定を求められてしまいます。
マットレス自体の価格幅も大きく、購入してから失敗したと気づく人が少なくありませんでした。
そんなニーズとプロダクトのミスマッチを解消するべく『Casper』が打ち出したのは、100日トライアルと10年保障というまったく新しいモデルです。
トライアルで得られたユーザーのフィードバックにより、さらに高い顧客満足を生み出す改善サイクルを構築する事ができました。
その成果として気に入らなければ返品ができるのにも関わらず、『Casper』のマットレスは返品率1桁代にとどまっているようです。
ユーザーに寄り添ったビジネス展開に注目
『Casper』の成功により複数の競合が登場したことは、私達消費者にとってはとても喜ばしいことでしょう。
「一度売ったら終わり」というスタンスではなく、ユーザー目線でプロダクト改善を繰り返す『Casper』に今後も大きな期待が持てます。
低コストで良質な睡眠をとれる『睡眠新時代』は、もう目の前まで来ているのかもしれません。
参照元: Casper公式サイト