どれだけ精巧に作られたデザインも、実物がないとイメージしにくいことがあります。印刷された資料をもとに詳しく説明しても、デザイナーの頭の中にある立体的なイメージを相手に伝えることは難しい。
そのため、相手のイメージを膨らませるために説明を加えた新たな資料を追加するなど不必要な手間をかける必要がある場合もあります。
もっと感覚的に伝えることができないか。仕事などで会話する中でそう思ったことがある方もいるのではないでしょうか。
CASIOが開発した2.5Dのプリント技術『Mofrel』は立体的に印刷することでイメージのディテールを更に細かく伝えることを実現させました。注:家電好きにはたまらないお話です。
ソフトで組み立てた立体感をそのまま印刷できる
専用アプリケーションを使ってバンプデータという凹凸に関するデータを作成し、パソコンの中で立体感をチェックした後はプリンターに出力してシートを印刷します。
布や木、石や金属の質感をプリントしてデザインやイメージを正確に伝えることができるのだから驚きです。この技術は、デザインされたプロダクトの試作品を作る時間や費用を大幅にカットできる画期的なものだと言えます。
PC上で表現するため素材や試作品製作時に必要な裁縫などの技術なども必用ありません。
どのようにして立体的にプリントするの?
熱を浴びて膨張する小さな粒子が含まれたシートを利用して立体的なプリントを実現しているそうです。近赤外線を利用して熱量をコントロールすることで凹凸を再現し、素材感を演出します。凹凸部分ができたら、その後表面にカラー印刷を施して完成です。
出来上がった印刷物は紙またはPETで作られているので切り貼りして試作品を作ることもできます。立体的な上に加工も手軽におこなえるのだから扱いやすいのではないでしょうか。
カラーバリエーションを作る際も、印刷データの色を変えるだけですぐに作成できます。通常のプリンターと同じで微妙な色合いも表現できるので本物を見ているかのような感覚でイメージを伝え合うことができるのです。
これまでは色や質感、CADデータ、素材情報などの多くをそれぞれ管理していましたが、『Mofrel』であれば1つのデータで全ての情報を管理することが可能になります。
よって、別の誰かにプロジェクトを引き継ぐ時も引き渡しデータの間違いを防いだり、管理の煩わしさを感じたりすることが圧倒的に少なくなります。
美しいディテールを確認できる最新技術
試作品を作ろうとすると技術者への報酬や金型のコストなど資金繰りも大変になりますが、『Mofrel』はプリンターと特殊なシートがあれば簡単にイメージを伝える資料を作ることができます。
クオリティは本記事の写真を見てもイメージできるのではないでしょうか。この凹凸を手で触って質感をイメージできるのは大きいですね。
建材の紹介やアパレル商品のデザイン打ち合わせ、パッケージデザインの開発会議など、『Mofrel』が役立つシーンは多数あります。
試作品の作成を業者に依頼した場合、時間はどれくらいかかるでしょうか。数日から数週間かかるでしょう。しかし『Mofrel』があれば3分~6分で印刷できます。イメージをデータ化してしまえばすぐに印刷して手元に資料を作れるのが嬉しいですね。
3Dプリンターで全体図をプリントして、2.5Dプリンターで質感や素材を確認する資料を作成する。
これからの商品開発は試作品を作らずともプリンター技術で話が進んでいくのかもしれませんね。いつか、プリンターで商品も完成してしまう時代も来てしまうのでしょうか。
インターネット上で購入して自宅のプリンターで再現されるとしたらお店も店員も必用なくなります。夢物語がいつか実現することを期待します。
参照元: Mofrel